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シュ色



死の壁

第一章なぜ人を殺してはいけないか

中国の有人宇宙船は快挙か
なぜ人を殺してはいけないか、という問いを一時期よく目にしました。特に神戸で十四歳の少年が連続殺人で捕まった頃に多かったようです。それについて私なりの答えを述べます。
ここでいったん、ロケットの話に飛びます。
 二〇〇三年、中国が有人宇宙船の発射に成功した、と各新聞が一面で取り上げていました。基本的には快挙として扱われていたようです。
 しかし、飛ぶだけなら蠅でも飛ぶわけです。
 あんなにでっかい物が飛んだ。そして狙った通りのところに届いた。それでみんながびっくりしている。驚くのが当然のように思われるかもしれないが、果たしてそうでしょうか。
 よく考えてみれば、蠅でもかでも飛ぶのです。それも自分たちの思った通りのところに着陸する。計算通りにしか飛ばないロケットとどちらが凄いのか。そういわれて悔しかったら実際に蠅や蚊を作ってみろ、といいたくなります。
 宇宙ロケットは非常に複雑に見えて実はきわめて単純なシステムです。人間は計画して、その通りに事が進んだら、それはそれではごく嬉しいことかもしれません。
でも、それで得意になっている奴に、「計算がいくらうまくできるといって自慢しても、あんた、自分の告別式の日だって知らないじゃないか」といったらどうでしょう。言い返せないのではないでしょうか。
  そんなこと分からない人間が、あの程度の計算ができたといって喜んでいるのが現代文明というものの正体です。それで平気で蠅や蚊を叩き潰している。
  人がなぜ人を殺してはいけないか。そのひとつの答えがここにあるのです。

殺すのは簡単
人は青酸カリ(氰化钾)で殺すことができます。出刃包丁で殺すこともできます。「吸血鬼」(きゅうけつき)に出てくるみたいに、木の杭(くい)のような原始的な道具だって上手に心臓に打ち込めば殺すころができるわけです。
  簡単に人間を殺すことができるこの青酸カリや出刃包丁や木の杭といったものが、人間と比べたらどれ単純なつくりのものか。
  システムというのは非常に高度な仕組みになっている一方で、要領よくやれば、きわめて簡単に壊したら、殺したりすることができるのです(ここでいう「システム」については後で説明をします。ここでは人間も含む自然や環境のことだと思ってください。)
  だからこそ仏教では「生きているものを殺してはいけない」ということになるのです。殺すのはきわめて単純な作業です。システムを壊すのはきわめて簡単。でも、そのシステムを「お前作ってみろ」といわれた瞬間に、まったく手も足も出ないということが分かるはずです。
  つきまで人間がいけるといって威張る。いまやそういうことは理論的には難しいことではなくなっています。でも蠅や蚊を作ってみろ、といわれたら、そのとたんにお手上げになるのです。理屈すらよく分からないのです。

あともどりできない
現代の人間というのは精密な時計を分解している子供のようなものではないでしょうか。分解して部品を全部机の上に並べてみる。それは子供にだってできます。
私は子供のときに、家にあった高級な時計を分解したことがあります。昔からこだわるほうだったというか、とにかくどんな風になっているのかと、一つ一つ丁寧に分解していった。
机の上に全部の部品を並べるまではよかったのです。さて、その分解が終わったところで気づきました。これをどう戻せばいいんだろうか、と。もうお手上げです。
第二次大戦後、冷戦時代に米ソでどんどん核ミサイルを作った。気づいたらとんでもない数になっていました。
それを、冷戦終結後に二年間で二万発減らそうという話になった。ところが実際の処理は一ヶ月に数発しかできません。とてもじゃないけれど、二万発なんて無理だとなる。
自分たちで安全に壊すことすらできないものを作って一体どうするのでしょう。正気の沙汰ではありません。漫画です。
中国が有人宇宙筆耕に成功したというのも似た類の話ではないでしょうか。ところが、これを新聞によっては大変な偉業のように書き立てます。まあ中国人がそれで喜ぶのはいいでしょう。結構なことです。これでもう誰もあの国を発展途上国だとか、まさかODAが必要な国だとは思わなくなるかもしれません。
ただし、この喜び方というのは恐ろしく時代遅れだとは思うのです。巨大な三峡ダムを造るとか何とかいうのも似たようなものです。日本では、もうダムなんか作るべきじゃないという考え方が主流になってきているのですから。
中国ほどの伝統のある古い国ならば、「うちはアメリカやロシアみたいに、ロケットなんてつまらないものは飛ばしません。」くらいのことを言えなかったものでしょうか。もちろん、日本が今から焦って同じ路線で走って、有人宇宙船を飛ばしたりする必要はまったくないのは言うまでもありません。
~つづく~
by syu_iro | 2005-08-30 18:20
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